こちらは名古屋大学大学院医学系研究科 総合保健学専攻 オミックス医療科学 病態情報科学 循環生理研究室(永田研究室)の紹介ページです。研究室を代表して一言あいさつを申し上げます。
私たちは食塩感受性高血圧や代謝疾患に伴う心筋傷害の分子病態の解明、さらには予防・治療法に関する研究を展開しています。
2006年の厚労省資料によれば、高血圧は40~74歳の日本人男性の約6割、女性の約4割が罹患しており、日本人にとても多い疾患です。また国民医療費の30%以上を占めるのが、高血圧とその関連疾患です。高血圧は放置すると心肥大や動脈硬化を発症・進展し、最終的には心不全や虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)および脳卒中(脳梗塞・脳出血)といった致死的な疾患につながります。
さらに近年、肥満(特に内臓脂肪の蓄積)に伴うインスリン抵抗性を基盤として、高血圧・II型糖尿病・脂質異常症を合併している病態を指す、メタボリックシンドロームが注目されてきています。日本では予備群も含め2000万人以上がメタボリックシンドロームに該当するとの報告もあります。メタボリックシンドロームは動脈硬化の進行により虚血性心疾患や脳卒中を惹起することでQOL(Quality of life)を著しく低下させるとともに、肝傷害や腎傷害等の合併症も引き起こします。特に、肝臓がんとの関連で最近注目されている非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)はメタボリックシンドロームとの病態の類似性が示唆されています。
下のグラフから分かるように、高血圧およびメタボリックシンドローム関連疾患(心疾患・脳血管疾患)による日本人死亡者数は、悪性新生物(がん)に次ぐ多さであり、その対策は急務です。
私たちはこのような「国民病」に取り組むため、病態ラットモデルを用いて高血圧・心不全やメタボリックシンドロームの病態解明および予防・治療法の検討を行っています。
病態情報科学 教授
永田 浩三